2008年04月22日

中上健次全発言―1970~1978

中上健次全発言@amazon―1970~1978 (1978年) 中上健次
集英社 昭和53年10月10日発行 初版本 カバー
四六判丸背上製 本文二段組462頁

●昭和45年、中上健次23歳の初の座談会から9年間の座談・鼎談・対談を収。
 「戦後文学の流れから」秋山駿/田久保英夫/上総英郎
 「闇の力−ディオニソスを求めて」小川国夫
 「痩せたソクラテスより太った豚になれ」三上寛
 「剥き出しにした生きざまを書く」佐木隆三/秋山駿
 「次代の書き手はどこにいるか」
   岡松和夫/岡田睦/高橋昌男/高橋三千綱/立松和平/秋山駿
 「人間−土に還るもの」深沢七郎
 「文学と死をみつめて」藤枝静男
 「出よ、大犯罪小説」中村雄二郎/秋山駿
 「話題の写真をめぐって」中平卓馬/渡辺勉/中村立行
 「土と〈マレビト〉」黒田喜夫
 「われらが太宰治」長谷川和彦/三上寛/正津勉
 「青春とは通り魔だったか」なだいなだ
 「歌え、歌は力だ」宇崎竜童
 「小説家の覚悟」古屋健三
 「俺達の舟は、動かぬ霧の中を、纜を解いて、」村上龍
 「市民にひそむ差別心理」野間宏/安岡章太郎
 「歴史をつかむということ」安岡章太郎
 「風土を見る目」島尾敏雄
 「文学の現在を問う」柄谷行人

「痩せたソクラテスより太った豚になれ」三上寛
□十九歳、恋に恋して男になる頃□
三上 俺、高校のときに女に惚れていたんだけれども、ずいぶん頭の訓練になったね。彼女はああ考えているんじゃないか、いや、こうだろう――。で、思考力の形が叩き上げられる。
中上 学校の勉強より有効な頭の訓練だよ。恋に恋するときの男って、あらゆる手段を尽くすだろう。好きな女が「痩せた男がいいわ」というのを耳にしたら二ヵ月でも食わないみたいな。(笑)
三上 その時こそ、たったひとりの女のために、人生が大きく変わる。
中上 具体的事実を言いなさい。(笑)
三上 東京に家出するとき、女にフラれた。(笑)いつかギャフンとまではいかなくても、俺がやることを見せてやろうと……。これがずいぶん動力になったね。

□「筆で死んでやる」魂□
……
三上 レコードは出してるけど あれは貧乏したくない、ある程度の生活をしたいだけ。
中上 歌心は一回限り、つまり〈いま生きればいい〉んだ。僕は〈俺の世界に入ってきてみろ。絶対にはなさないぞ〉。僕は密室じゃなく、いつも喫茶店で書いている。つまりライブなんだ。……
三上 俺は近頃、歌が出来る瞬間というものは、小さな奇跡じゃないかと思う。作る努力以前の何かがある。すごい壮絶な理由があると思う。
中上 それは本当だね。・・・・・・
三上 どこかへ帰っていく……。その帰ろうとする意識の途中で歌ができ、女と寝て、酒を飲む。
中上 ……「肉体を使う仕事でしか男は飯を食えない」・・・・・・
 むかし東大総長が言ったね。「太った豚になるよりも、痩せたソクラテスになれ」って。冗談言ってはいけない。太った豚で結構だ。豚になれ。またある記者が聞いたんだ。小説を書くには才能がいるでしょうって。僕は言ったんだ。「いいえ、小説は体力で書くものです」って。
三上 いい言葉だ。
posted by raycy at 19:20| Comment(0) | TrackBack(1) | 本メディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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