2008年02月06日

新科学精神 栗山浩 ; 佐藤真 編著

新科学精神 @amazon 栗山浩; 佐藤真 編著 -- 国文社, 1987.9.25, 414p.
目次

■「BOOK」データベースより
二分法のモノサシからの脱却を求めて(林知己夫+千葉康則+難波寛次)
ストレスとサイバネティックス(石川中)
もうひとつの自己制御―ゲシュタルト療法とTA(国谷誠朗)
方証相対―漢方医学のシナージズム(大塚恭男)
間と間とずれと自己(木村敏)
1/fという名のふしぎなゆらぎ(武者利光)
協力現象とはなにか―シナージェティックスの考え方(高辻正基)
秩序をつくるもとしのゆらぎ(清水博)
モノを場からとらえなおす(江沢洋)
システム分析入門(江藤肇)
統計の立場から見たゆらぎ(赤池弘次)
エントロピーと開放定常系(槌田敦)
土壌浄化法あれこれ(新見正)
広義の経済学へ導くもの(玉野井芳郎)
エコン族の危機―アメリカ社会の価値尺度と経済(佐和隆光)
人間は機械とどうつきあうか(坂本賢三)
脈絡のなかでの知(村上陽一郎)
生成の世界像をめぐって―ベイトソンと現代社会(浅田彰+花村誠一+佐藤良明)

統計の立場から見たゆらぎ(赤池弘次)
●ゆらぐデータに対して「予測」という立場で見る
●セメントのキルンの場合の因果のからみあい
●最終予測誤差を考え、時系列解析を進めた経緯
●「予測と制御」と因子分析をつなぐ「ゆうど尤度」という糸
●ものごとを「分布」として見る視点がエッセンス
●ボルツマンは分布のキャラクタリゼーションをした
結論から先に言えば、私はボルツマンの展開した熱力学的エントロピーの確率論的解釈が、作業の方向はまったく逆ですが、じつは、対数尤度が信念の合理的な尺度であることの証明を与えているということを言いたいのです。(P.244)
・・・・・
さて、この式の内容は何かと言いますと、じつはSBはgという分布からのサンプリングによって、fという分布が得られる確率の対数(に比例する)と見なすことができるのです。そこでg関数という、いわばたいらに散らばっている測度の分布を考え、そこからたくさんのデータをとってその分布を眺めると、測度の二乗平均が一定になるもののなかで確率が最大になるものは、マクスウェルの分布、いわゆる正規分布しかありませんよ、ということです。
つまりボルツマンは分布の特徴づけ、今のことばで言えば分布のキャラクターリゼーションを遣っているのです。それが熱的平衡状態の特性を与え、それにもとづいて熱力学的エントロピーの確率論的な定義、あるいは解釈ができますよ、ということを言っているのです。(P.246‐247)
●統計の目指すものはエントロピー最大化原理の実現
ところがこの論文のなかに注目すべき記述があるのです。「注意を惹かないではいられない」 g関数のこと
g関数をどう考えるかを論じることこそ確率的理論の展開を考える人の責任だ、
フィッシャーの言う信念の合理的な尺度ということばと期せずして同じ文脈で語られている(P.247)
統計における尤度の考え方からすれば、g関数とはモデルのこと(P.247‐248)
・・・・・・
その意味で、私は対数尤度=(確率論的)エントロピーの測定値、という理解をするわけです。(P.248)

よくエントロピーは無秩序さの尺度と言い方がありますね。その説明としてしばしば通信理論で知られているシャノンのエントロピーが用いられますが、シャノンのエントロピーは、ボルツマンの議論でのg関数を特殊なものにとった場合に相当するもので、私から言わせればg関数をどうとるかによって「無秩序さ」の意味がまったく異なってくることを多くの人は忘れていると言いたいのです。この点をよく理解しておいていただかないと、確率論的エントロピーのとんでもない解釈が横行することになる、いや現に横行している、と思うものですから、(P.248‐249)

ツリー セミラティス
posted by raycy at 19:55| Comment(0) | TrackBack(6) | 本メディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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