2008年08月13日

私のハードボイルド―固茹で玉子の戦後史 小鷹信光

私のハードボイルド@amazon―固茹で玉子の戦後史 小鷹 信光 (単行本 - 2006/11)
 …『映画字幕は翻訳ではない』…。・・・『プレイバック』に出てくるセリフにまつわる話…。清水俊二の有名な訳文「・・・」をうまく言い換えた「…」というキャッチフレーズ(…)をめぐる丸谷才一の非難発言(《週刊朝日》で角川に噛み付き、清水俊二にも腹を立てろとけしかけた)もまじえて大騒ぎになった一幕である(本書第六章参照)。(P.89)

「ハードボイルド・ジャーニー」(《週刊新潮》七一年五月号「めりけんポルノ」)
 ハードボイルド小説の本質は、「もろさ」や「やさしさ」といった情感を直接描写することなしに、しかも非情でタフな外面があくまでも衣であることをわからせるスタイルにあるのです…(p.208)
 人類がもし……生きのびる唯一の道を発見しし得るとすれば、それは「タフな衣」を棄て、人間本来の「やさしさ」「もろさ」「情動性」に立ち返ること以外にありません。「やさしさ」「もろさ」こそが人間の長所であり、強さであるのです……

脱ハードボイルド宣言(p.209)

 ・・・一九七八年、ハードボイルド業界でちょっとしたスキャンダルが発生した。第三章で紹介したが、…。
 この”盗用”を公然と指摘したのは作家の三好徹だった。「近ごろ推理小説考」と題された《東京新聞》での記事(七八年五月十八日夕刊)…。…。生島氏に確かめたところ……彼には断りなく使われているという。…。(p.239)

 …『ハードボイルド風に生きてみないか』・・・。(P.240)

 …「パパイラスの船」の第四章・・・。清水俊二は前出の自著の中で、「私もいま翻訳するなら、・・・。
 話は少し前後するが、三好徹の指摘に始まって盗用の噂がじわじわと広まってゆき、ついに《毎日新聞》が十一月六日の夕刊で、事の成りゆきを…
 八月ごろ角川の編集者が来て、あなたの言葉とは知らず無断借用して申し訳ない。今後も使わせていただきたい、と私に一札入れ、迷惑料十万円を置いていった。・・・。
(p.241)

『タフでなければ生きられない』(P.242)

各務三郎編 名探偵読本『ハードボイルドの探偵たち』座談会「ハードボイルドの魅力を語る」(P.243)
 好きな探偵は「もちろんマーロウ……この人のために、この道に引きずりこまれたような……チャンドラーは、おめず臆せず彼をとってもいい男に描いている」
と、かつてチャンドラーの短篇の下訳翻訳をやったことのある小泉喜美子はマーロウ狂いの心情を吐露した。(P.244)

『探偵物語』『赤き馬の使者』『蘇れ!探偵物語』(P.244)
「日本のハードボイルドの夜明けは、いつくるんでしょうかね。コダカノブミツさん?(松田優作)」
(P.246)

一九八三年
 ……
 これより少し前、<マルタの鷹協会>の春の例会に青木雨彦が登場し、一歳年下の作家、生島治郎の若き頃の秘められたエピソードをバクロした。
……

 太宰治と魯迅が好きで、探偵小説などは軽蔑していた生島治郎をコネをつかって早川書房に無理やり就職させ、半額になる社員割引でポケミスを毎月買わせたなどという裏話を披露。(P.272)
 生島や僕はしょっちゅう殴られていた。でもくやしいから泣かなかった……ハードボイルドの主人公たちは全然泣かない。それを読んで、これが本当の小説ではないかな、と思った……。…、ここでは泣かないぞ、ここでは泣かないぞと、自分に言い聞かせている気持ちだと思う。
(P.273)

「”清水”チャンドラーの弊害について」池上冬樹『ヒーローたちの荒野』
清水の訳文には、生き生きとしたリアリズムがあるし、そこはかとないロマンティシズムが醸し出されている。そこが日本でチャンドラーが人気を呼ぶ原因でもあるが、しかしそれこそがまさに、清水チャンドラーの弊害でもあるのだ。
(p.328)
『別冊野性時代 矢作俊彦』久間十義との対談
生島治郎試訳の「タフ」という訳語に異議を唱えている。(P.329)

 …『長いお別れ』の新訳 二〇〇七年春刊行されるという。 村上春樹 ……
マーロウは「私」になるのか「おれ」になるのか(まさか「ぼく」ではないだろう)。(P.329)



posted by raycy at 19:26| Comment(0) | TrackBack(3) | 本メディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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